豊かな実
2006年 10月 21日
懐かしい香りは大きなやさしい銀杏の木でした。
優しい秋の日差しの中で、静かにベンチに座っていると、ポタッ ポタッ と、銀杏が落ちる音。金色に輝く葉っぱが、キラキラと揺らめく大きな銀杏の木から、その豊かさを受け取る大地。ポタッ ポタッ ・・・。
静寂の中で感じる豊かな音色。
落ちる実の振動を足の裏に感じるような昼下がりの静かな公園で、ふと子供の頃を思い出しました。
幼稚園まで福島県の会津若松というところに育った私は、よく父や母と銀杏拾いに行ったものです。
長靴を履いて、銀杏の実を踏みながら、その強烈な匂いにはいつも閉口していました。
でも大人になって、銀杏のおいしさがわかるようになった頃には、都会での銀杏拾いはすっかりとしなくなっていました。
福島の家の庭には柿やいちじく、ざくろやあんず、びわやぶどうなど、たくさんの果物の樹が植えてあったので、子供時代のおやつはとても豊かだったように思います。
硬い胡桃の実を割る仕事は父だったり・・・。傍で割れた胡桃を尖った棒で次々食べて叱られたり・・・。そんな小さな頃の記憶が蘇ってきて、なんだか嬉しいような切ないような気持ちになっていると、
何やらビニール袋の音が近づいてきて、老年のご夫婦が銀杏を拾いにやってきたようです。仲の良さそうなご夫婦は静かに、でも楽しそうに、銀杏の実を拾っています。
季節を大切に感じながら、人が手間を掛けることを惜しまなければ、もっともっと豊かに生きられるのですね。
そんなことを感じた秋の日。
今度は早朝に銀杏を拾いに来ようかな♪(^0^)